究極の同人ハード『多連装音源システム G.I.M.I.C』

レトロパソコン

はじめに

今回のブログネタは正直言ってマニア向けである。今までもそうだったかもしれないが、今回は出来るだけかみ砕いて解説するのでマニアでない方にも興味を持っていただけれたらと思う。

FM音源の昨今

G.I.M.I.Cで再生できるFM音源とはいったいどういうものだろう。主に80〜90年代のレトロゲームを愛好している者なら、この「FM音源」というものが何であるかは、聴かずともわかるに違いない。

FM音源は、90年代ごろをピークに電子楽器やアーケードゲームや家庭用ゲーム機、初期の国産パソコンに多く搭載されていたハードウェアだ。着メロが流行ったころの携帯電話にも搭載されていて、当時はとても人気を博していたが、徐々にPCM音源という新たな手法の音源に取って代わられていき、市場から姿を消していったのである。

しかし、根強い人気で今もまた復興しつつある。特に同人界隈においては近年自作で設計したものを製品化して、それを手に入れることによって、ハイクオリティな環境を自宅で構築できるようになった。かく言う私もFM音源の魅力にとりつかれた一人で、実機環境を含めて様々な音源を所持しているほどの熱の入れようである。

そんな、FM音源愛好家たちによって支えられている同人ハードの中でも憧れのFM音源再生システムはこちら。

『多連装音源システム G.I.M.I.C 』

今回はこのなんとも摩訶不思議な同人ハードの魅力について解説していくことにしよう。

G.I.M.I.Cについて

G.I.M.I.Cがなんなのか知らない人の方が圧倒的に多いだろう。G.I.M.I.Cとは、各方面で高いスキルを持つとあるグループによって開発され、製作、頒布されている同人ハードのことだ。市販レベルの高い技術と品質をもって、他の同様な同人ハードとは一線を画す性能でFM音源の再生が出来るのが最大のウリだ。

特徴

■公式サイトより「はじめてのGIMIC」
https://gimic.net/index.php?%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AEGIMIC

G.I.M.I.C公式サイトに細かい説明はあるが、私が特に良いなと思った点を挙げてみる。

1.完成品で購入可能
同人ハードでは、基板に部品などを自分ではんだ付けして組み上げるキット状態で頒布されることが多い。だがG.I.M.I.Cは本体や音源モジュールなどが完成品で提供されており、難しいはんだ作業や配線などの手間が省ける。

2.スタンドアロン再生可能
マイクロSDカードスロットを搭載し、ACアダプタ接続でのスタンドアロン再生機能により、G.I.M.I.C単体で各種音源データを再生できる。

3.VSTiで音源として利用可能(現在はクローズドベータ版のみ)
パソコンとUSBで接続してDAWを使ったハードウェア音源としての利用も可能とのことだが、現在のところ評価版の提供がごく限定的にされている。

4.光デジタル出力対応(別途出力基板が必要)
一部音源モジュールにてステレオ 96kHz/24bitでの光デジタル出力に対応している。非常に高品質なサウンドを得られる点が素晴らしい。

特にYM2151(OPM)は、そのLSI自身に本来備わっていた16bitフルデコード出力にも対応したとのこと。実機や他の音源プレイヤーを凌駕する高音質の再生を実現している。

【G.I.M.I.C】多種音源汎用再生機に便利モジュールが登場した【OPLMN】

動画で詳しい説明がされているので興味のある方はご視聴していただきたい。とにかく品質と安定性に於いては他の同人ハードの追随を許さぬ勢い。それを発売当初から達成しているハイクォリティな逸品。それがG.I.M.I.Cの特徴と言えよう。

購入方法

それで、気になるG.I.M.I.Cの購入方法なのだが、本体と音源モジュール、周辺機器といったコンポーネントシステムからなっており、ひと通り揃えていく必要がある(後述の単品で鳴らせる本体もある)

  • 実店舗での委託販売(店頭・ネット通販あり)
  • M3やコミケでの直接頒布

上記の2種類の方法で購入が可能だ。

購入コスト(一例)

いいものは高いのが同人ハードの宿命だが、その中でもG.I.M.I.Cは群を抜いて高い。何でも出来る一番いいやつを頼むとこうなる(今は頒布されていないモジュールも含む)

なお、これはBEEPでの通販価格なので、M3やコミケなどの直接頒布の場合とは異なる。詳しくはG.I.M.I.Cの公式サイトを参照いただきたい。

  • 2代目マザーボード Professional版 59,616円
  • OPL/M/Nモジュール 20,747円
  • OPNAモジュール 28,512円
  • 専用アクリルパネル 4,536円
  • GMC-MB2専用拡張ユニット(液晶表示・操作ユニット) 19,400円
  • GMC-MB2専用アクリルパネル  2,592円
  • SPDIF基板V2 (GMC-OPT04) 26,400円

上記のようにまとめ買い(大人買い)で全部そろえた場合の値段は161,803円となり、軽くハイエンドビデオカードが買える程度になる。ここまで揃えるのには躊躇するだろう。ただ、これだけあればなんでも出来るし買って後悔はしない出来なのは保証する。
(更にOPNAとOPMを同時に使いたいという欲望がない限りは・・・)

なお、本体とOPNAモジュールで簡潔に組むとこのようになる。ベースが四半世紀前以上のテクノロジーがメインなハードなのに現代にも通用するほどとても美しい。

また、後述するMUCOM88 Windows用に単品で鳴らす事もできるお得なスターターセットも前回の冬コミで行っていたようなので今後の展開にも期待しておこう。

各音源ボードの特徴(抜粋)

ひとくちにFM音源と言っても、たくさんの種類がある。なので、ここでは実際にG.I.M.I.Cで視聴できる音源タイプの中で、詳しくない方でも聴き馴染みのある音源を挙げて説明をする。

1.OPM(YM2151)

この音源は、昔のシンセサイザーやアーケードゲーム、X68000などに採用されていた。主要搭載機器にはPCM音源を付与させているものが多くあり、それによって豪華な演奏ができたため数多くのヒットタイトルが世に出回った。特にX68000では一般ユーザーたちの手による耳コピーやオリジナル作曲、同人ゲームが大流行して草の根ネット界隈を大いに賑わせていた。

今はシャープがOSなどを公開してくれているので、今現在でもWindowsパソコンからソフトエミュレータを使った環境構築ができる。とても使い勝手の良い音源である。

スペック:FM 8音(4オペレータ)

2.OPN(YM2203)

この音源は、国民機の代表格であるPC-98の主要機種で採用された。そのためパソコンゲーム=OPNというくらい聴き馴染みのある方が多いだろう。ただし先述のOPMとは違いFM 3音+SSG 3音と音色が少ない。そのため全般的にこじんまりとしているが当時のクリエイター達の努力によって、限られた音色というハンデを克服した名曲が多く誕生した。G.I.M.I.CではOPNAボードを使えばOPNの音源データは再生できる。

スペック:FM 3音(4オペレータ)+SSG 3音

3.OPNA(YM2608)

OPNの実質上位にあたるOPNAは、FM 6音+SSG 3音となった上に、リズムパートとADPCM 1音を追加した多種多彩な構成になっている。PC-88やPC-98で搭載されていた。今でもOPNAを使った作品なども出ているのが特徴だ。

たとえば、CHEMOOL氏はPC-88実機での再生も可能な音楽ディスクを鋭意製作中とのこと。次回作は決まっているもののまだ出ていないが出来は凄く期待できるものだろうと心待ちにしている。

また、かつて古代祐三氏が自身でPC-88用に制作した音楽開発環境が2018年にWindowsへと移植されたのも記憶に新しい。

このように、OPNAには根強いファンも多くて活動が活発になってきている。私自身も好きであるのでいまだに聴いてる事が多い。

ただし、OPNAが普及した辺りからゲーム音楽の主流はPCMタイプの音源へと進みつつあった。OPNAはFM音源勢としても負けられない意欲を感じられたが、多チャンネル化と豊富な音色からなるPCM音源の前には勝てなかった。それはまるで今のCPUにおいてメニーコア合戦が繰り広げられているのと通じるものがあるのではないかと勝手に想像している。

スペック:FM 6音(4オペレータ)+SSG 3音+リズム音源+ADPCM 1音

なお、PC-98とPC-88のOPNAの微妙な仕様の違いについては、こちらのブログ内容を参照いただきたい。

G.I.M.I.Cの使い方(抜粋)

それでは、G.I.M.I.Cの使い方について解説していこう。パソコンとUSB接続した時のモードについて詳しく説明していくことにする。ほとんどの人がこの使い方で十分だろう。

1.USB制御モード接続

マイクロUSBケーブルでパソコンに USB接続すると、各種ツールからG.I.M.I.Cの音源を制御が可能となる。

最新OSのWindows10でも特殊ドライバ無しでUSBデバイスと認識している。

なお、MacOS Xではファームのアップデートなどは出来るが演奏自体は出来ない(Parallel DesktopやVMWareに入れたWindowsでの接続や演奏が出来るかは検証しきれていない)ので素直にWindowsパソコンを使う事だ。

G.I.M.I.C対応ソフトを立ち上げると一緒に出てくるのがc86ctlという中継デバイスソフトだ。FM音源の各種詳細情報が出てとても重宝するので、常時表示させておくのが良いだろう。

■MUCOM88 Windowsでの例

これが立ち上がっていない場合は、USB接続が正しく設定されていないか、対応ソフト側での設定が間違えていることになるので、きちんと設定をしよう。敷居は少し高いが、一度設定をカチっと決めると次からは面倒な事がなくなるので頑張って設定してほしい。

G.I.M.I.Cはそのほかにも主にエミュレータ系のツールになるが、実機さながらというか実機以上の音が出せるのが魅力的だ。

というのもソフトエミュレータによる出力だと、どうしても細かなニュアンスの違いに違和感を覚えてしまう。また、USB接続とはいえほとんど遅延を感じさせないので、PC-98などレトロパソコンのソフト資産がある人にはその代替手段としてもお薦めだ。

おわりに

「懐かしさ」という枠から抜け出した良質サウンド

G.I.M.I.Cはレトロパソコンでは出来なかった、音質の改善を徹底的に施し、昔の音源ながらも、現代のハイクオリティな音楽再生環境に合った音質へと変化させた立役者と言っても過言ではないだろう。

別売りのデジタル出力回路を使えば、96kHz/24bitステレオ出力まで可能というのだから驚きだ。これなら現代のハイレゾ環境にもしっかり適合できる。

また、普通にアナログ出力しても相当良いレベルで、ミキサーに接続してスピーカーで流しているのだけど、明らかに昔の出音と違う。表現するなら「昔のパソコンから出る音から一皮むけて、本来のFM音源サウンドが飛び出してくる」という感じだ。

レトロパソコンの実機から出てくる音はかつて自分たちが使っていた時と同じ出音で、だからこそ「懐かしさ」を味わいたいなら実機に勝るものはない。だが、FM音源の本来の出音は現代の技術によって磨かれて、ピカピカになった状態で出てきたというのがG.I.M.I.Cを使った音を聴いた感想だ。これによってFM音源の新たな境地の発見につながっていく事を期待している。

G.I.M.I.Cの公式サイトにサンプルがあるので是非聴いてもらいたい。私の言う意味がわかるのではないだろうか。

※ちなみにG.I.M.I.Cを使って昔のゲームのサントラを収録している復刻タイトルがCDなどで結構出ている。G.I.M.I.Cの力はプロも認めているのだと強く感じさせられる。

他ハードウェアの紹介

最後にG.I.M.I.Cと同じような事が出来る同人ハードを紹介して締めくくるとしよう。G.I.M.I.Cは高くて手が出ないという方や、FM音源ボードから直接再生させたいマニアの方、果ては何枚も音源ボードを連結して頂点を極めたい方には下記のものもお薦めする。

それでは本日も良いFM音源日和をお楽しみあれ。

※何かありましたらコメント、ツイートなどでご指摘ください。さっそくありました、お読みいただきありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました