0dB HyCAA 真空管ヘッドホンアンプを作ってみた

レビュー

0dB HyCAA との出会い

世の中には趣味がたくさんあり、その趣味にハマることを沼と表現する。

私もどうやらその沼の一つにハマりこんでしまったようだ。それは「真空管ヘッドホンアンプ」沼という。その沼の中にはさらに「オペアンプ」沼から「コンデンサ」沼、「真空管」沼といったものが派生している。どれもほどほど安価でありながらとても奥の深いもので、組み合わせは無限大だ。自分の耳の好みに合うまで延々と続けられるこの沼に、ハマりこむ理由とはいったいなんだったんだろう。

ヘッドホンアンプって必要なの?

私自身、ヘッドホンアンプというものを、そんなものわざわざ必要なのか?という疑問符を付けてでしか見てこなかった。これまで「ヘッドホンで聴く音楽=外で聴くもの」としてしか考えてなかったからだ。外で聴く分には音質を追及しても意味がないだろうし、家で落ち着いてならスピーカーで聴くのが一番だろうとも思っていた。で、今回の件が、私のこの考え方は間違っていると気が付かせられることにもなるわけだ。

きっかけは、FM音源プレイヤー!

私は大のFM音源フリークなので、実機演奏環境を含めて色々な音源を持っているが、中々手に入れることができない貴重品である「YM2151Player」が当たった!(ツイッターでのディープな会話のやり取りが目的だったので、まさか当たるとは思っていなかった)

で、これが送られてくるまでに嬉しさをこらえきれなくなった私は、この「YM2151Player」に見合った手頃なアンプは無いかと、ツイッターを走らせた。すると興味を引くツイートに巡り合った。

ふむ、これは小さくてなかなかにカッコイイじゃないか。なんだか真空管の持つ温かさとオペアンプやコンデンサなどの冷たい感じとが不思議とマッチしていて面白い。この小さなオーディオに一目ぼれした私は、すぐさまGoogleで検索すると作者さんのホームページをいとも容易く見つけることができた。

■new_western_elec ヘッドホン + オーディオ回路
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/0db_hycaa_pcb.html

たかじんさん、という方が設計されたようだ。けっこう前から、この真空管ヘッドホンアンプは完成しており、それを購入者たちは思い思いのパーツで組み立てて楽しんでいるようだ。よし、これはやってみなくては!と、私は日本橋へと足を運んだ。

素人だから・・・

電子工作をやりだすと、素人ならではの苦労や失敗を経ていくわけだが、今回の私も色々と苦労したし、見事な失敗もした。それをちょっと書いておこうと思う。

パーツ集めで挫けかける

パーツショップあるあるの、初めて来た電子パーツショップはどこになにがあるのか全然わかんないに早速遭遇した。もともと、たかじんさんのホームページや、基板販売サイトで組み立てマニュアルを開けば、ちゃんとパーツのリンクが貼ってあって、そのままインターネット通販で簡単に買えるのでしなければよかったのだが。ちょっとこの電子工作の道を進んでみたいと思った矢先に早くもその洗礼を受けてしまった。

休日のデジットは人とパーツでごった返している。沢山の人が狭い通路を行きかう。遠慮しながらパーツリストをにらめっこしながら売り場を探す。たどり着いてもそこからが大変だ。コンデンサ一つとっても沢山の種類があり、数字の羅列に私の眼は泳ぎに泳ぎまくった。で、人気のパーツだけがなかったりといった事もしょっちゅうなので、デジット以外のお店にも行って一生懸命探してきて、なんとかお目当てのパーツ類を集めきった。探すだけでも数時間は掛かってしまった。疲れた。


工作で最後の最後に躓く

さて、組立て方は電子工作としては簡単な方だと思うので割愛する。私は温度調整付きのはんだこてを使い、ちまちまとはんだ付けをしていった。だいたい2時間もあれば全部のパーツをはんだ付けできたと思う。作業日が日曜の夜だということもあり、私はつい焦って、最後の最後に大失敗をやらかしてしまう。その時はさすがにツイートもした。

ACアダプタがまさかの極性違いで、電源入れた瞬間にコンデンサが発煙してしまった。隣の抵抗が煤けてしまうほどの勢いだったので素人見でもすぐにヤバい事くらいはすぐにわかった。しまった、やってしまったよ。

だけど最後まで諦めない

だけど諦めちゃったらここでおしまいだ。私はまたもやデジットへと向かい、これでもかというほどコンデンサを買い付けてきた。もうここまで来たら後に引けない、なんとしても完成させるのだ。

コンデンサは容量違いも含めてスペアを沢山手に入れた。これだけ買うと単品では安いコンデンサも結構な価格となるし、会計の時の店員さんが計算するのが大変そうだった。

諦めなければ結果がついてくる

この時の私は落ち込むこともなく、リベンジに心を燃やして意欲が湧いていた。もう失敗は恐れない。まず、間違えたであろうアダプタを再度確認。問題なし!

続いてコンデンサはすべてやられたかもしれないので全交換。たかだか4つしかないのでこれもサクっとやってしまおう。そして・・・

無事に完成!

コンデンサを全交換して作り直した基板に正しくACアダプタを接続すると、想像をはるかに上回るクォリティで音源を奏でてくれた。

0dB HyCAAという名の通り、驚くほどノイズが少なくてボリュームを上げても雑音が出てこない。これだけでも凄いのだが、真空管の特徴なのかやけに音がやさしく温かく包み込んでくれるような音質に変っていた。これは、機器にダイレクトにヘッドホンを繋げた時のような音圧はあるけどやかましいだけの音楽、とは一線を画すクオリティだ。

カスタマイズ内容と再生環境

今回のアンプの主なパーツ構成は以下の通り

  • 真空管:electro-harmonix 12AU7/ECC82
  • コンデンサ:ニチコンKAシリーズ 16V/470μF(C3・C4), 16V/2200μF(C5・C6)
  • オペアンプ:NJM5532DD(C-AMP), OPA2604AP(V-AMP)
  • LED:RGB LED Φ5(型番不明)

あと、私の再生環境は以下の通り

  • ヘッドホン:Sony MDR-CD900ST 
  • 出力ソース1:自作パソコンのオンボード出力
  • 出力ソース2:Galaxy S9 Plus

これが私のスタート地点。どんどん自分の好みに合う環境を求めて、試行錯誤の日々が続くのは言うまでもないだろう。さあ、オーディオ沼の序盤、まずはヘッドホンアンプにどっぷりつかろうではないか!

最後に

電子工作には何かと危険がつきものなので、電源、はんだこて、などの取り扱いには注意してやろう。完全にDIYとなるので、ここは自己責任で!

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