Brise Audio「ASUHA」リケーブル レビュー

オーディオ

Brise Audioは日本国内に会社を構えている、ハイエンドオーディオ、プロ機材向けのケーブルを製造するメーカーだ。この度、生産終了品ではあるがイベントにて「ASUHA」を新品購入できたのでレビューをすることにした。

このケーブルから現行品の「ASUHA-LE」や「ASUHA-Rh2+」、「ASUHA Ref.2」といったシリーズ展開されていったわけだが、Brise Audioが得意とする一貫した製作ポリシーのもとに作られているため、その特徴や性能といったものをこの「ASUHA」からしっかりと受け継いでいるで事であろう。そういう意味では「原点」と呼んでも良いであろう「ASUHA」をしっかりとレビューするので参考にして頂けると幸いだ。

特徴

入手したのはこちらのものとなる。販売時にはスタンダードと位置付けられていた、この「ASUHA」のリケーブルには特徴がいくつかある。

  • 独自開発の8芯ケーブル
  • 木製ケーブルスライダー
  • オリジナル高品質コネクタ
  • オリジナルプラグ

つまるところ、このリケーブルに関わる「全てのパーツ」が独自性の塊なのだ。この唯一無二な特徴こそがBrise Audio製品の醍醐味の一つとなっている。人と同じ物は選びたくないというクセの強いリスナーであればまずその点に着目していただきたい。

外観

特徴として挙げたが、オリジナリティさを強く持っているBrise Audioの製品であることを象徴するかのように、ケーブルスライダーやコネクタ、プラグにロゴマークや会社名が表示されている。ブランディングの観点からも独自性という特徴を全面に強く打ち出している感じがある。

そして肝心かなめのケーブル部分はどうかというと、きめの細かな組立作業で成せる業と言って過言ではない、その造形美ともいえる寸分の狂いのなく編みこみをされているのが特徴的だ。ケーブルを収納する際に真円を描くように纏まるのはこの職人芸とも言える造形の確かさを表しているようだ。

Shure掛け部分については最初からクセがつけてはなく、ピンと真っ直ぐ伸びた状態だ。そこも自分の耳に合わせて変える事で、自分好みのケーブルに仕上げる楽しみを残してある。

ここまで褒めちぎってはいるが、一点、注意をするならば普段から柔らかめなリケーブルを扱っている人からすると相当に硬いので、取り回しや収納の点での細心の注意を払うよう配慮が必要だ。乱雑に扱って、LANケーブルのようにキンクさせてしまわないよう気をつけよう。

後述で比較するイヤホンのケーブルでは、これくらいのこじんまりとしたキャリーケースで十分入るのだが、あまり小さくまとめすぎると巻きぐせがついてしまいそうなので、一回り、いや二回りは大きめのケースに、余裕を持って巻きつけて入れられるタイプのものを選んだ方が良いかもしれない。

筆者はよくあるリケーブルのケースでは小さいので少し大きめのケースを使っている。

Bitly

レビュー用イヤホン

今回のレビューするリケーブルはイヤホン側が2Pinで、プレイヤー側が3極の3.5mmプラグ仕様のものだ。それに対してレビュー用に用意したイヤホンは下記のものとなる。

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詳細なスペックなどは下記の友人が書いたレビューサイトを参照いただきたい。

【イヤホンレビュー】Kinera Celest Plutus Beast – 耳を楽しませてくれる独特の低音域に注目
今回は、Kineraよりリリースされた骨伝導ドライバー搭載イヤホン「Celest Plutus Beast」のレビュー記事です。 直近でレビューしたイヤホンの中では、ややユニークなドライバー構成が特徴のイヤホンとなりますので、 製品概要にて...

自分がこのイヤホンで比較をすることにしたのは「ASUHA」の特徴を十分に活かすと思ったからだ。

「Celest Plutus Beast」は前述のとおり、多様なドライバーが搭載されたユニークな製品となっています。
構成としては「1BC(10mm 骨伝導ドライバー) / 1BA(バランスド・アーマチュア) / 1SPD(角型平面駆動ドライバー)」となり、低域は骨伝導ドライバー・高域はバランスドアーマチュア・全体を角形平面駆動ドライバーが支えるといった形で、各ドライバーにおける役割がしっかりと分かれています。

uni-sonia 「【イヤホンレビュー】Kinera Celest Plutus Beast – 耳を楽しませてくれる独特の低音域に注目」より

特に友人の、このイヤホンレビューがキッカケで当該イヤホンを購入したのだが、確かに全体のバランス感がとてもよかった。手に入れてからというもの、このイヤホンの実力をもっと引き出せるリケーブルを探していたのだが、偶然にも「ASUHA」に出会えたことによってその目的を果たすかたちとなった。

掛け心地

比較として「Celest Plutus Beast」付属のリケーブルとの重さの違いだが、付属品のケーブルは20グラムに対し、本製品は29グラムと1.5倍近く重たい。手に取ってみても確かに重いとは感じたし、試しにフィッティングしていない状態でイヤホンをつけると、いとも簡単に耳からイヤホンが外れてしまう。

しかしながらShure掛けとして調整できる部分が長めに取られているのでフィッティングが完了した後は耳全体でケーブルを支えることによりそこまで重さを感じなくなる。むしろこのおかげでイヤホンのホールド力が上がりイヤホンが耳から外れにくくなるという長所となる。

取り回し

ここまではポジティブな事しか書いてこなかったが、明らかに取り回しの点では本製品を含め、Brise Audioのイヤホンリケーブルは他社製品と違う所が一点、それもかなりの難しさが伴う。

例えるならば「光オーディオケーブル」のように一つ一つの所作を丁寧にかつ繊細さをもって扱う事。無理やり曲げたりクルクルさせない事がとても重要になる。一度クシャクシャにしてしまうとせっかくの高級リケーブルの見た目が台無しになってしまうだろう。雑に扱うことで被覆や心線にもダメージが及ぶと思われるので、そんじゃそこらのケーブルとは思わず、かなり丁寧に扱うことだ。

本製品はまだ細い方なので猛者の方々はこの「ASUHA」よりも太いケーブルをお持ちの方が多いであろうから心配は要らないと思うが、これからBrise Audioの門を叩く筆者や初心者の方には特に注意されたし。

出音

さあ、ここが一番気になる所だ。リケーブルという事は付属品のケーブルからの違いが必ず生まれる。そのなかでも「何が違うのか」「どう違うのか」のかを筆者の観点から述べていこう。

何が違うのか

音源の本物の音を出そうとする点、そこが明らかに比較用の付属品ケーブルと違っている。ややもすると煌びやかに聴かせようとする付属品のケーブルは「高音や低音を頑張って持ち上げる」タイプの音に聴こえていたのだが「ASUHA」に取り替えたところ「無理に持ち上げないまま高い音質を保つ」というケーブルとして本来あるべき姿を筆者にズバッと突きつけてきた。

使用しているイヤホンは初心者にはありがたくも1万円台で買えるリーズナブルなものだ。だがポテンシャルは昔買った同価格帯のイヤホンとは一線を画すものであると筆者は感じている。その進歩を感じるイヤホンの性能をより発揮させるため、今や音源のソースの情報量は昔と比べてはるかに高くなった今の時代にもしっかりと寄り添っていてどんなに古い音源であっても出音に古臭さを全く感じない。

それで、この「ASUHA」はどの音源に合うかというと、ほぼどんなジャンルにも適合する柔軟さを持っていると考える。その理由は先に書いた通りでケーブル由来と思えるクセが無く、オールマイティな用途で使えるからである。

筆者はエレキベースを弾いたり、FM音源の電子機器で曲を再生する時のモニターイヤホンとして使っているので今回の3極の3.5mmプラグ仕様を選んだが、取り回しも含めて丁度良い結果となった。どのシーンでも音を正確に掴み取るこのリケーブルがまさに最適であろう。

どう違うのか

ぶっちゃけると、質のあまりよくないケーブルというものは良くも悪くも「一定の質になる」ので、音源ソースのクォリティ(ビットレートやマスタリングの質)に問わず似たような聴こえ方になる。

Brise Audioのケーブルは違う。レコードを高級プレイヤーでDSDにした音源、ハイレゾ配信音源、CDリッピング音源、MP3エンコード音源、ありとあらゆるソースの違いを耳で判断できるようになる。配信曲によってビットレートが違う同じ曲を聴いていて「あれ?なんか違うぞ」と再生画面を見るとやはり違っていた。そんなケースを聴き込むにつれて多く体験した。

驚くのはこれだけではない。手前味噌にはなるが筆者もオーディオI/Fを使って電子音楽機器やシンセから音を収録、マスタリングする事があるが、その時の機材のグレードが明らかにわかってしまうのだ。

もちろんだがBrise Audioのケーブルのラインナップでその特徴は差が出るであろうが、この「ASUHA」においてもその変化は十分に感じ取れるほどであった。

まとめ

Brise Audioのケーブルのスタンダードといわれる、この「ASUHA」を触れて感じた事をまとめよう。

  • 細やかで繊細な技術が至る所に施されていて抜かりがない
  • 音源のソースを丸裸にさせるほどの高い解像度を持っている
  • 聴き心地は上々で全体的に重心の低さと安定感を兼ね備える
  • 取り回しだけは注意でグレードが上がるほどキツくなる
  • パフォーマンス重視なのでコスパという半端な考え方は棄てろ

最後の項目がミソ。とにかくポータブル音の質を上げたければ下手なイヤホン買うよりもDAPやポタアンを買うよりも、この「ASUHA」シリーズのリケーブルから始めよう。まずはそこからだ。

最後に

Brise Audioのリケーブルといえば「ケーブルスムーサー」での手入れは欠かしてはならない。同社の製品を持つ人にはイベント等で貰えるので忘れずにゲットしよう。

不織布や目の細かな布などに塗布して塗り込むと、ケーブルに艶が出てなおかつ不思議なくらいに柔らかくなる。成分は不明だがメンテナンス前後で大きく変化が出るのは明らかなので、所有者ならこまめなケアしよう。見た目も大きくよくなるので所有欲を満たすと言っても過言ではないだろう。

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